■垂直統合

商品の企画、製造、販売などサービス供給の上流から下流までの対応工程を広げて、コストカットやマーケティング機能を強化するビジネスモデルを指す。

アパレル産業の代表例はUNIQLO、コムサ、GAP、H&M。製造小売業=SPAと言われる。

■水平統合

特定の工程を複数の企業で連携して一体化すること。

垂直統合とは、企業グループが、製品やサービスを供給するためのバリューチェーンに沿って、付加価値の源泉となる工程を取り込むことをいいます。水平統合は、バリューチェーン上に定義される特定の工程で、それを提供する複数の企業グループが一体化することをいいます。

川下の競争激化も垂直統合の要因

バリューチェーン上の工程が複数の企業によって構成されていると、企業間取引において牽制関係が生じます。例えば、製造工程である工場は、原材料を安く調達し、製品を高い価格で出荷しようとします。一方、その上流側(川上)の原材料供給業者はより高い価格での納入を望み、川下の卸・小売業者は安価で製品を購入しようとします。

様々な業界で消費者を起点とする競争激化から、各工程での利幅の確保が難しくなっています。企業グループの中には、牽制関係にある上下の複数工程を取り込むことで、製品・サービスの安定供給や中間段階のコスト削減を図り、利益を確保しようとする動きが加速しました。こうした、垂直統合は、古くは、自動車メーカーによる自動車販売会社や部品供給会社の系列化などがあります。最近では、卸・小売業が主導して、上流の生産や原材料調達工程までを一貫して取り込んだSPAの出現、プライベートブランド(PB)商品の開発などが垂直統合によって実現しています。

水平統合は企業再編により加速

水平統合では、同一の製品やサービスを提供する企業が連携することで、規模の経済によるメリットを享受できます。業界再編の流れの中で、M&Aによって水平統合が実現するケースも増えてきました。

従来、垂直統合され、内部化されていた機能が外部化することで、水平統合が促される場合もあります。流通業での共同配送や製造業でのEMSなどがその例です。

逆に、情報通信、鉄道、電力、郵便などで実施された民営化や規制緩和は、統合されていた複数工程の分離として捉えられ、新たな事業の創出が期待されます。携帯電話事業でのMVNO(仮想移動体通信事業者)、電力事業でのIPP(卸電力事業)などがその例です。